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リラックス
緊張するといろいろなことが思うようにできなくなり、成果が上がらなくなります。演じている時、自分のからだも心も頭も自由に思うようになること、演じることに集中できて、いい緊張感が生み出せることは大切なことです。俳優は、舞台上にちゃんと居て、そこに誰がいて何が起っているのか、冷静に考え判断できる必要があります。
まず、からだをほどき、呼吸を深くしてリラックスします。それから、思い切ってお腹からストレートに「あ〜っ」と声を出すと、緊張から解き放たれて楽になります。また逆に、力が抜けてしまって俳優に必要なエネルギーのない状態では、演じることはむずかしいでしょう。
「メソード演技」における俳優に必要なリラックスゼーションとは、不必要な力をぬくことで集中度が増し、心身ともに開放されて、のびやかに演技できるようになるために必要な基礎訓練です。
五感への集中(からだで感じる演技のために)
日常で無意識に使っている感覚を意識してみてください。
例えば、おいしそうな料理の匂い。暑い時に飲む冷たい飲み物。新しい服の柔らかい感触。雨に降られて全身ずぶ濡れになった時の肌の感覚など。きっとすぐに思い出すことができると思います。私たちのからだが記憶しているこういった感覚を、改めて実際感じてみてください。うまく感じられると、嬉しくなったり、寂しくなったり、元気がみなぎってきたり、気持ちが動くのが分かります。あなたの感じていることを表現してください。自分のなかだけで感じているのでは、人に伝わりません。
無対象でやるので、よく集中しないと上手くいきません。でも、一生懸命集中しようとするあまり、身体に力が入ってしまっては感じとるのはむずかしくなります。力を抜いて集中できるようになることです。
また、頭のなかが忙しく働いている状態では、“感じる”余裕が生まれません。感覚が働きはじめ、心とからだが自由に動きだすと、あなたの想像力が驚くほど豊かになっていきます。
開放
私たち日本人の社会のしくみが、なかなか開放されにくく、分かりにくいと言われるのは残念なことです。人間関係にもよく言われますね。傷つきやすいデリケートさの裏返しとみると分かるような気もしますが、反面、信頼感が持てないことの現われでもあるようで、いろいろな問題につながっていきます。開放の必要性が言われるようになって久しくなりますが、人の心は益々閉じていくように思われます。
コミュニケーションの問題もそのひとつです。お互い何を感じているか、何を考えているか、とても分かりにくいことが多くなりました。その人の魅力もよく分からず、相手への興味も薄れます。
こういったことが、俳優と俳優のあいだだけでなく、舞台と客席のあいだにも起ります。舞台から伝わってくるものがないと、お客さんの興味が失われていきます。
演技に必要な「開放」というのは、けっして裸になったり自分の感情を爆発させることではありません。
たしかに、私たちにとって「開放」は、勇気のいることだと思います。
また、開放を強要するのではなく、大切なのは、自分が築いた心のバリケードを壊していこうとする本人の意志でしょう。
俳優の勉強をしていく時に必要なことは、受け身にならないこと、自分の考えをもってプラス志向で進められること、未知の領域に踏み込んでいく勇気を持つことです。
咲良舎アクティングプレイスでは、舞台の上での俳優の開放を大変重要なものとして、主にコミュニケーションを主軸に、いろいろなエクササイズを行います。
初歩エチュード
与えられた場面(課題)を即興で演じます。まず、私たちが生活の中で何気なくやっていることをやってみるわけです。例えば「暑い夏の公園で友達を待っている」と課題をだされた場合、舞台のうえでは夏でもなく暑くもないわけですから、自分で創造していかなければなりません。舞台上で五感を働かせ、考えたり、行動する訓練です。
つまり、「実際あなたが暑い夏に公園で友達を待ちながら、なかなか現れない友達のことを思ったり、そういう時によくするようなことをしながら待っている」ことを創造するのです。
自分が公園のどこにいて、そこから何が見えるのか(例えば噴水とか、ハトとか、子供たちとか)、また何が聞こえるのか(例えば子供の声とか、車の音とか)など、からだで感じることから始めます。あなたの五感をよく働かせ、ひとつひとつに注意をていねいに集中させる必要があります。
あなたが何をやっているのか、見ている人がわからなければなりません。奇を衒ったことをやって、見ている人を面白がらせようとしたり、びっくりさせようなどとしないことです。
絵でいうと、デッサンの勉強と同じですから、場面を変えていろいろな課題をやってみましょう。二人でやる場合は、コミュニケーションの問題もからんできます。エチュードの勉強が「演技の基本」になりますが、この基礎力で、実力のある俳優かどうかわかります。
シアターゲーム
演じることを英語で ACTといい、演技は ACTION です。 ACTION はまた行動という意味もあります。ですから、自分の内面にとらわれるとそのことで精一杯になり、動くことを忘れ、反応も鈍くなり、いい演技も生まれません。「メソード演技」を学ぶことで、こういった状態に陥らないように気をつけなければなりません。余計なことに頭を使う暇もなく、遊び合う「シアターゲーム」のなかに、俳優に必要ないろいろな要素が含まれています。ただ楽しいばかりでなく、シリアスな逃げられない状況に自分を置き、恐さや悔しさや情けなさなどを体験し、演劇的で豊かな表現を学びます。
テキストを使って学ぶこと
戯曲は読み物としてもなかなか面白いものです。シェイクスピア、チェーホフ、テネシー・ウィリアムスなどの名作は、文庫本になって一般の人たちにも広く読まれています。ニール・サイモンなどの現代劇作家の作品は、身近で親しみやすく若い人でも楽しめます。
昨今、日本では書き下ろしのオリジナル作品の上演が盛んで、書くことに腐心する若い演劇人が増えていますが、書き手も演じる方も世界的に高く評価された数多くのいい作品に触れ、刺激を受け、視野を広げることは大切なことだと思います。
まず俳優は、読まないと、読み取る力がつきません! 芝居のなかで何が起っているのか、なぜ登場人物がそのせりふを言うのか読み取れないと、自分が演じるとき、大変に困ります。状況や自分の演じる役柄を理解できないと、何を頼りに演じていいのか分かりません。演出家の指示を待って自分からテキストを読み取ろうとしない俳優は、いい俳優とは言えません。演技派をめざす俳優なら、なおのことです。
まず、セリフやト書きに書かれていることを読み取る力をつけ、それからさらに、セリフの行間や裏側にある書かれていないことまで読み取れるようになりましょう。
俳優の勉強とは
俳優のための勉強は、レッスンを受けている時だけではありません。あらゆることが勉強の対象になります。音楽、美術、文学などの教養的な勉強から、楽器や踊りのお稽古ごと、日々の生活から、人との会話から、学ぶことはどこにでもいくらでもあります。アンテナをはっていると、身のまわりに面白いものがいろいろあることに気づくでしょう。一生懸命アンテナを伸ばし、出会ったものを自分の演技にどう生かすか、つねに工夫することが大切です。
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